北米では新年を盛大に、そして日本のように何日かかけてゆっくりと祝う習慣はあまりなく、2日から仕事が始まった。今日は4日土曜日、昨日の土砂降りとはうってかわり(このせいで悲劇がおこったのだが詳しくはまた今度)、冬のバンクーバーにしてはめずらしくきれいに晴れて、家の窓からは雪をかぶった山々が見える。ようやく週末になったので2019年を振り返り、今年の抱負を考えようと思う。
2019年。どんな年だっただろう。
5月からバンクーバーで新しい生活を始めたことは、2020年を、いやこの先の人生を考えるのに大きな影響を与えていることは間違いない。あと1、2年こちらで住もうかも迷ってもいる。
これまでに少なくはない回数の旅を繰り返してきて、様々な文化や価値観に触れてきた。つもりだった。日本ではない場所に住み、肌で感じるその土地の「生活」というのは、旅で撫でるだけのそれとは全く違う。また、客観的に日本を見ることができるようになったことは、私の考え方に大きく影響をもたらしている。
政治や経済が破綻していること、希望を持って未来を見据えることができないこと、人々の価値観がアップデートされにくい、日本古来の価値観や環境が深く根付きすぎていること、
環境問題に目も向けないこと。ジェンダー格差についてはもう吐き気がする。
こちらに来てから、仕事のストレスは一切ないし、満員電車に乗らなくてもいい。電車に乗って痴漢に遭うことも、男性から品定めされているような視線や言葉を浴びることもない。
ごみ箱に溢れかえるペットボトルやタピオカカップの山や、たったおにぎり一つだけのためのプラスチック袋に悲しくなることもない。
それでもやっぱり、日本に帰りたいと思うことはたくさんある。友達や家族が恋しい。ここでは信頼できる友達もいない。まだまだ不自由な私の英語力では、ちょっとしたアクシデントでも勇敢に立ち向かうことができない。チャンスを掴むこともできない。
日本から音楽の仕事のオファーを受けると、今まで積んできたキャリアを捨てて、私は何をやりたいんだろうと思う瞬間は少なくない。
毎日、おもしろいことが起こる、刺激がたっぷりと溢れた東京が恋しい。私のやりたいことを素直に表現できて、受け入れてくれる土壌のある場所。
こうやって毎日、日本とカナダと(もしくは海外)を天秤にかけながら、2019年の終わりを過ごしたし、2020年になった今もどちらに傾くのか、決着がつかずにいる。